【しらさぎS】バー「夜蝶」の美咲ママが指南!データで紐解く波乱の予感
妖艶な夜の帳が下りる、寂れた街の一角。バー「夜蝶」のカウンターで、32歳のママ・美咲が今週の競馬を語る。競馬記者も顔負けのデータ分析力で、彼女が指南するのは、今年からG3に昇格したしらさぎステークス。優柔不断な常連客・祐一を前に、美咲ママが紐解く波乱の予感とは──?
『夜蝶』にて

「ねぇ、祐一。今週末の競馬、もう決めたの?」美咲は、グラスを磨く手を止め、カウンターの祐一に問いかけた。艶やかな唇が弧を描く。祐一は競馬雑誌を片手に、眉間にしわを寄せている。
「それが美咲さん、全然わかんなくて。米子ステークスが今年からしらさぎステークスっていうG3になったのは知ってるんですけど、データが少なくて困ってるんです。」祐一が弱々しく答える。
美咲はフッと笑みをこぼした。
「ふふ、祐一は相変わらずね。でもね、米子ステークスが重賞に昇格したとはいえ、過去5年の傾向はしっかり使えるわ。むしろ、その傾向から穴馬を見つけるのがこのレースの醍醐味よ。」美咲は競馬雑誌を祐一から取り上げ、指でトントンと叩いた。
過去5年間の傾向…
狙うは「中位人気」と「5歳馬」
「まずね、祐一。このレースは中位人気の好走が多いのよ。
1番人気や2番人気も来るけど、4番人気、6番人気、8番人気、10番人気まで、複勝率はどれも40%で横並び。優勝馬は上位人気が多いけど、2着や3着には中位人気がバンバン絡んでくるの。
だから、単勝だけじゃなくて、馬連やワイド、3連複で手広く狙うのがセオリーね。」美咲はそう言うと、意味深に微笑んだ。「そうなんですね!じゃあ、あんまり上位人気ばかりに囚われない方がいいってことか…。」祐一は真剣な顔で頷く。「ええ、その通り。
あと、年齢だと5歳馬が中心よ。【3-2-2-13】で過半数の3勝を挙げてるし、複勝率も35.0%と優秀。今回の出走馬で言えば、ラケマーダ、ダイシンヤマト、ヘレペティトールあたりが該当するわね。
特に、ラケマーダは今回の本命よ。前走の安土城S組は好成績だし、上がりもメンバー2位だったから期待できるわ。」

牝馬と前走凡走馬に注目!
「そして、もう一つ注目してほしいのが牝馬よ。牡馬やセン馬より出走頭数は少ないんだけど、複勝率が38.5%とすごく高いの。
ただし、牝馬で好走した馬のほとんどは4番人気以内だから、ある程度人気している牝馬を狙うのがいいわね。でも、牡馬やセン馬は6番人気以下の穴馬が7頭も馬券に絡んでるから、そこは面白いところよ。」
美咲はちらりと祐一の顔を見た。「今回の牝馬だと、ニ冠牝馬のチェルヴィニアが出てくるけど、斤量が57kg。同レースではないけれど過去にスティルインラブやジェンティルドンナも斤量56kgや57kgで苦戦してるから、そこは慎重に見た方がいいわね。
逆に、穴で狙うならダンツエランよ。3歳牝馬で斤量51kgは魅力だし、前走の上がりもメンバー最速だったから、軽ハンデを活かして突っ込んできてもおかしくないわ。」
前走凡走馬も侮るなかれ
「それから、祐一。前走で凡走していても、このレースでは警戒が必要よ。
前走6着以下の馬が意外と好走してるの。ただ、前走の人気は重要で、前走1~5番人気だった馬の方が良い結果を残してるわ。」美咲はグラスに氷を入れながら言った。
「なるほど…。じゃあ、前走で大敗していても、人気を背負ってた馬は買えるってことですね。」「そうね。例えば、タシットやデビットバローズ。この2頭は前走で人気を背負って大敗してるけど、6歳馬は勝ちがないから、紐で押さえる程度で十分よ。」
最後の直線は「上がり」がカギ!
「あとね、このレースで差しや追い込み馬を狙うなら、上がり1位か2位の脚を使える馬が必須条件よ。
いくら展開が向いても、上がりが遅いと届かないからね。だから、今回穴馬で狙うなら、ダイシンヤマトも面白いわ。5歳牡馬で、直近5走のうち4回がメンバー最速の上がりをマークしてる。展開がハマれば、一発あるかもね。」
美咲はカウンターに肘をつき、祐一の目を見つめた。その瞳には、競馬への深い洞察が宿っている。
「美咲さん、やっぱりすごいですね!僕一人じゃ、こんなに深く分析できませんよ。」祐一は感心したように言った。
美咲は妖艶な笑みを浮かべた。「ふふ、祐一ももっと勉強しなさい。競馬は奥が深いわよ。さあ、今週の馬券、どうする?」美咲は祐一のグラスに、琥珀色の液体を注いだ。夜はまだ始まったばかりだ。
美咲ママの【推奨馬】

「さあ、祐一。あんたが一番知りたいのは、私の推奨馬でしょう? 今回はとっておきの3頭を教えてあげるわ」美咲は、意味ありげに微笑んだ。グラスの氷がカランと音を立てる。
本命は
「ラケマーダ」
「まず、私の本命はラケマーダよ。この子、5歳でしょう? さっきも言ったけど、このレースは5歳馬が中心なの。それに、前走の安土城ステークス組は過去に好走例も多いし、何より上がりもメンバー2位。このコースで上位の上がりを使えるってことは、それだけ末脚がしっかりしてるってことよ。信頼できるわ」
穴馬は
「ダンツエラン」
と
「ダイシンヤマト」
「そして、今回面白いのは穴馬ね。まずはダンツエラン。まだ3歳牝馬だけど、3歳馬はこのレースにまだ1頭しか出てないのに、それが勝ってるのよ。しかも、この子の前走はメンバー最速の上がり33.1秒。それに、斤量が51kgって、もう裸同然よ。軽い斤量を活かして、直線でグイグイ伸びてくる姿が目に浮かぶわ」美咲は楽しそうに目を細める。
「もう一頭の穴馬は、ダイシンヤマトね。この子も5歳牡馬で、このレースの好走パターンに合致するわ。前走は3勝クラスだったけど、直近5走で4回もメンバー最速の上がりをマークしてるの。重賞で通用するかは展開次第だけど、もし前が潰れるようなら、この子の鋭い末脚が火を噴くはずよ」
美咲はグラスを傾け、祐一に問いかけた。「どう?私の見立て、悪くないでしょう?」