​（美咲は、グラスにブランデーを注ぎながら、カウンターで競馬雑誌を広げている祐一に微笑みかける。）​

美咲ママ： 「あら、祐一くん。今日も熱心に競馬のお勉強？ 週末のアルテミスステークスね。」​

祐一： 「はい、美咲ママ。でも、2歳牝馬のレースって難しくて…。このアルテミスステークスも、上位人気が勝ったり、大穴が開いたり、なんか掴みどころがないんですよね。」

​美咲ママ： 「ふふ、さすが祐一くん、目の付け所が良いわ。そうなのよ、このレースは『堅いようで波乱の予感』が漂うの。見てごらんなさい、1番人気が3勝、2番人気が1勝で、上位人気も強いんだけど、勝率は50%に満たない。それでいて、7番人気が2勝、極めつけは12番人気のリ○グラシューまで勝っちゃう。後のG1馬が大穴を開けるなんて、ロマンがあるわよね。」

​祐一： 「12番人気が勝つんですか！それはすごい…、でもどう予想したらいいのか…。」​美咲ママ： 「大丈夫よ。このレースの『本質』を見抜けば、怖くないわ。まずは、基本に忠実にね。」

（美咲は、雑誌を指差しながら、祐一に静かに語りかける。）

​美咲ママ： 「まずね、祐一くん。やっぱり1番人気、2番人気は素直に認めましょう。この子たちの連対率は、どちらも50%を超えているの。余程の懸念材料がない限り、

『マルガ』や『フィロステファニ』のような上位人気馬は、信頼していいわ。これが一つ目の鉄則よ。」​

祐一： 「なるほど、人気馬を信頼する勇気も必要なんですね。」​

美咲ママ： 「ええ。そして、このレースで唯一、絶対に無視してはならない『秘策』があるわ。それはね、『上がり最速』を狙えるタイプよ。このマイル戦は最後の決め手が命。その為か、外枠からでも脚を溜めて、一気に差し切る競馬が有利に運べるの。『フィロステファニ』や『マルガ』が、このタイプを兼ね備えているから、さらに信頼度が増すわ。」​

祐一： 「上がり最速…。じゃあ、瞬発力勝負ってことですね。でも、逃げ馬はダメなんですか？」

​美咲ママ： 「良い質問ね、祐一くん。逃げは[0,3,2,5]と、勝ち星こそないけれど、連対率は悪くないの。ハナを切る勇気は時に報われるわ。『ハッピーエンジェル』や『マルガ』なんかが逃げの経験があるわね。

ただ、もっと決定的なデータがあるわ。それは**『軸ならキャリア2戦以内』**よ。勝ち馬は驚くことに、100%キャリア2戦以内の馬から出ているの。『タイセイボーグ』以外はみんなクリアしているから、ここも重要な絞り込みポイントになるわね。」