宝塚記念 G1:美咲ママが指南するデータ競馬の真髄

夜の帳が下りるバー「夜蝶」で、今宵も競馬談義が花開く。競馬雑誌を読み込み、緻密なデータ分析を得意とするママ・美咲が、優柔不断な証券マン・祐一に宝塚記念の「過去10年データ」を徹底指南。伏兵の激走から年齢・牝馬の傾向、前走着順、さらにはノーザンファーム生産馬の隠れた法則まで、美咲ママの競馬の真髄が今、明かされます。

過去10年間の傾向データ

伏兵の激走に注意

「ねぇ、祐一。今週末の宝塚記念、どうするの?」
美咲はグラスを磨きながら、カウンターに肘をつく祐一に問いかけた。その眼差しは、競馬雑誌の奥に隠された鋭い光を放っている。祐一は雑誌から目を離し、困ったように眉を下げた。
「うーん、それが全くわからなくて…ママ、何かいい情報ありません?」
いつもの頼りない祐一の言葉に、美咲はふっと笑みをこぼした。
「仕方ないわね。じゃあ、今日は特別に『夜蝶』特製、宝塚記念の過去データ分析を披露してあげるわ。まずは、このレース、伏兵の激走に注意が必要よ。」
美咲は雑誌のページを指差しながら続ける。
「過去10年を見ると、1番人気馬は勝率40%で2勝。2番人気馬も2勝してるけど、複勝率50%でトップなの。そしてね、3番人気馬は最多の3勝を挙げてるわ。でも驚くのは、6番、7番、8番人気馬もそれぞれ1勝ずつしてるってこと。つまり、中位人気馬の一発があるってことよ。」
祐一は真剣な表情で頷く。
「へえ、そうなんですね。上位人気ばかりに目がいってました…」
「それだけじゃないわ。10番人気以下からも6頭が3着以内に入ってるの。しかも、その6頭は10番、11番、12番人気に集中しているから、大穴狙いならそのあたりを攻めるのも面白いかもしれないわね。昔は3連単で18万馬券なんてのもあったけど、最近4年は10万円未満に落ち着いてるから、そこまで荒れることはないかもしれないけど。」

5歳馬が7勝、牝馬が好成績

美咲は指を一本立てて、次のポイントに移った。
「次に重要なのは、年齢と牝馬の活躍よ。」
「年齢ですか?」
「ええ。過去10年の勝ち馬はすべて4歳か5歳馬から出てるわ。特に5歳馬は7勝もしていて、勝率も連対率もトップよ。昨年もブローザホーンが勝ってるし、2020年を除いて毎年必ず1頭は3着以内に入ってるの。今回の登録馬だと、ソールオリエンス、ドゥレッツァ、ベラジオオペラ、リビアングラス、ロードデルレイが5歳馬ね。」
祐一はメモを取り始めた。
「じゃあ、本命は5歳馬から選ぶのが良さそうですね。」
「そうね。4歳馬も複勝率は5歳馬を上回ってトップだし、侮れないわ。アーバンシック、ショウナンラプンタ、ジューンテイク、メイショウタバル、レガレイラが4歳馬よ。そしてね、このレース、牝馬の成績がとっても優秀なの! 過去10年で4勝もしていて、複勝率は驚異の40%。クロノジェネシスが2連覇してるのよ。3着以内に入った牝馬は全て4歳か5歳だったわね。今回の登録馬だと、レガレイラが牝馬ね。彼女は4歳だし、注目よ。」
美咲は少し間を置いて、さらに深掘りする。
「そして、前走の成績もカギを握るわ。」
「前走ですか?」
「ええ。前走で1着だった馬は3勝、2着だった馬は最多の4勝を挙げているの。この2つの条件を満たす馬で、過去10年の勝ち馬の過半数を占めているわ。今回の登録馬だと、ベラジオオペラ、レガレイラが前走1着。チャックネイト、ロードデルレイが前走2着ね。この子たちは要チェックよ。」
祐一は「なるほど…」と呟いた。
「ちなみに、前走3着馬はアーバンシック、ショウナンラプンタ、ドゥレッツァ、ヨーホーレイクね。前走5着馬は振るわない傾向があるけど、前走6~9着馬からも17年にサトノクラウンが勝ってるから、ここも全く無視はできないわ。」

ノーザンファーム生産馬の成績は抜きん出ていて…

「最後に、生産牧場と継続騎乗について見ておきましょうか。」
美咲は最後のページを開いた。
「出走頭数が多い分、ノーザンファーム生産馬の成績は抜きん出ていて、過去10年で8勝を挙げているわ。特に、ノーザンファーム生産で前走4着以内だった馬は複勝率37.1%と非常に優秀よ。今回の登録馬だと、アーバンシック、ドゥレッツァ、ヨーホーレイク、レガレイラがこれに該当するわね。
逆に、前走5着以下だったノーザンファーム生産馬は複勝率9.4%とかなり落ちるから、ここは注意が必要ね。シュヴァリエローズ、ジャスティンパレス、ダノンベルーガ、ローシャムパークは前走5着以下だったわ。」
祐一は首を傾げた。
「騎手も関係あるんですか?」
「ええ、関係あるのよ。前走から継続して騎乗している馬の方が、乗り替わりの馬よりも成績がいいわ。過去10年で継続騎乗の馬が7勝を挙げているの。やっぱり、人馬一体ってことかしらね。」
美咲はにっこり微笑んだ。そして、少し間を置いて、意味深な表情で付け加えた。

逃げ馬も意外と好成績なのよ。

「あとね、祐一。ちょっとした穴情報だけど、逃げ馬も意外と好成績なのよ。
特に4歳牡馬で10番人気前後…今年の登録馬だと、メイショウタバルかしら。レガレイラみたいな追い込み馬がいると、他の騎手たちが牽制しすぎて、逃げ馬が残る可能性も十分に考えられるわ。」美咲は、祐一のグラスにそっと新しい氷を入れた。

祐一も納得!美咲ママの「宝塚記念・激走馬」はこれだ!

「というわけで、私の推奨馬は、

本命が

ベラジオオペラ

レガレイラ

そして、

穴馬として

メイショウタバル

を挙げたいわね。

さあ、祐一。これで少しは自信がついたかしら?」祐一は、美咲の言葉の重みに、ゆっくりと頷いた。「はい…ママのおかげで、なんだか勝てる気がしてきました!」美咲は、その自信に満ちた祐一の顔を見て、満足そうに微笑んだ。妖艶な夜の帳が、二人の会話をそっと包み込んでいた。この情報で、祐一は今週末の宝塚記念、どんな馬券を買うのかしら?

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