有馬記念・危険な人気馬:ダノンデサイル
昨年の有馬記念で逃げて3着、さらに中山重賞2勝。舞台適性は文句なしに思えますが、実は今回の条件は彼にとって**「最も過酷な状況」**かもしれません。
JCに捧げた魂。有馬の坂を登る『お釣り』はもう残っていない
① 「お釣り」は残っているのか?
最大の懸念は、秋のローテーションによる消耗です。春にドバイ、夏にイギリスへと渡り、秋は最高賞金を懸けたジャパンカップを目標に全力で仕上げられました。陣営にとっての「メイチ(本気)」は、多額の報奨金も絡む前走のジャパンカップであったことは明らか。
有馬記念はあくまで「余力があれば」の延長線上です。激戦を終えた後の上積みは望み薄で、状態を維持するのが精一杯というのが本音でしょう。
② 「漁夫の利」狙いの消極性
記事にある通り、陣営が「勝ちに行く」よりも「隙があれば上位を」というスタンスであれば、それは勝負服の動きに直結します。ダノンデサイルは自在性がある反面、早めに動いて目標にされると脆い面もあります。中山巧者の伏兵勢が虎視眈々と一発を狙う中、マークされる立場のこの馬が「守りの競馬」に入れば、外から一気に飲み込まれるシーンも十分に考えられます。
③ 期待値の低さ
おそらく当日は1〜3番人気を争うでしょう。しかし、今の彼は「勝って当然」というプレッシャーを背負いながら、中身は「お疲れモード」というギャップを抱えています。馬券的な妙味(コスパ)を考えれば、ここを敢えて「抑え」に留め、勢いのある別路線の伏兵に夢を託すのが賢明な判断かもしれません。
知っておきたい!JRAの「報奨金制度」って?
今回、ダノンデサイルがジャパンカップ(JC)を最大目標にした背景には、JRAが設定している**「海外特例報奨金」**が大きく関わっています。競馬ファンの皆さんも、なぜ有力馬が有馬記念よりJCを重視するのか、その仕組みをサラッとおさらいしておきましょう!
海外特例報奨金
- どんな制度?指定された海外の主要G1(ドバイシーマCや凱旋門賞など)を勝った馬が、同年のジャパンカップに出走し、3着以内に入ると、**通常の賞金とは別にボーナス(報奨金)**が支払われる仕組みです。
- ダノンデサイルの場合彼は春にドバ、イシーマCを制しています。もしJCで優勝していれば、数億円単位のボーナスが転がり込む計算でした。
- なぜ有馬記念は「おまけ」に見えるの?この報奨金制度はJCにのみ適用されるものが多く、有馬記念には同様の「セット割引」のようなボーナスが少ないんです。つまり、経営的な視点で見れば、JCが「本番」で有馬は「余力で走るボーナスステージ」になりやすいということですね。
世界を制した実力馬だからこそ、ファンとしては応援したくなりますが、馬券は別腹。「ここは悪魔(あくま)でも抑え」という冷静な決断が、年末の大笑い(あるいは大逆転)に繋がるかもしれませんよ。
