1番人気ボンドガール9着に沈む! 2025アイルランドTのスローペース展開とルメール騎手のコメント考察|競馬-神がかり
東京芝1800mの舞台で行われた牝馬限定GII、2025年アイルランドトロフィー。レースを振り返ると、何と言っても目を引くのは、単勝3.9倍の圧倒的1番人気・ボンドガールが9着に大敗したという事実でしょう。
平均ハロン11.74というスローペースで、先行勢に有利な「先行有利」の馬場状態であったにもかかわらず、中団追走から伸びを欠いた彼女に何があったのでしょうか。**ルメール騎手が語った「加速しない」**という言葉を手がかりに、この衝撃的な敗戦の裏側を分析します。
アイルランドトロフィー【レース結果·払戻金】
2025年10月12日 4回東京4日目
11R 第1回 アイルランドトロフィー(GII)
2025/10/12(日) 4回東京4日 11R
アイルランドT G2
3歳上オープン (国際)牝(指) 別定
芝左1800m (Aコース) 良
【推奨馬】
◎ボンドガール
◯セキトバイースト
▲カナテープ
△ホウオウラスカーズ(穴)
△アンゴラブラック
✕セフィロ
✕ラヴァンダ
【推奨買い目】
馬連 ◎流し―◯▲△△✕✕
ワイド ◎―2,14
3連複
◎流し ―◯▲△△✕✕(20点)
アイルランドトロフィー(GII)の5着までの結果は以下の通りです。
ラヴァンダ(4人気)
アンゴラブラック(6人気)
カナテープ(5人気)
ライラック(8人気)
セフィロ(12人気)
アイルランドトロフィー(GII)の払戻金は以下の通りです。
単勝: 15番 700円
複勝: 15番 230円 / 2番 400円 / 7番 280円
枠連: 1-8 1,370円
馬連: 2-15 4,690円
馬単: 15-2 9,230円
ワイド: 2-15 1,440円 / 7-15 880円 / 2-7 1,570円
3連複: 2-7-15 9,100円
3連単: 15-2-7 68,610円
ご注意:この結果と払戻金は速報に基づいています。必ずJRA(日本中央競馬会)の公式発表をご確認ください。
2025年10月12日 4回東京4日目 11R 第1回 アイルランドトロフィー(GII)レース回顧
1. ラヴァンダ、スローペースを覆す圧巻の差し切り
2025年10月12日、東京競馬場で行われた第1回アイルランドトロフィー(GII、芝1800m)は、4番人気ラヴァンダ(牝4、岩田望来騎手)が勝利を収めました。
レースは武豊騎手騎乗のアドマイヤマツリがハナを主張し、1000m通過1分0秒8というスローペースで流れました。逃げ・先行馬に有利な展開が予想される中、ラヴァンダは外枠から中団の外目を追走する形を選択。岩田望来騎手は、プラン通り先行馬を行かせて脚を溜めることに成功しました。
直線では、逃げ粘るアドマイヤマツリやインから伸びるアンゴラブラック、カナテープによる激しい叩き合いとなりましたが、
その外からラヴァンダが抜群の反応で進出。上り3F 32.4秒の鋭い末脚を繰り出し、ゴール前で一気に差し切りました。
岩田騎手が「逃げる形でも追い込む形でもレースができる」と評したように、センスの良さと高い瞬発力を示した勝利となりました。2着にはアンゴラブラック、3着にはカナテープが入り、上位は僅差の決着となりました。
2. 1番人気ボンドガール沈黙と人気各馬の明暗
一方、多くの注目を集めた人気各馬は明暗が分かれる結果となりました。
単勝3.9倍の1番人気・ボンドガール(ルメール騎手)は、中団後方で折り合いはついたものの、直線で全く伸びを欠き9着に大敗しました。ルメール騎手はレース後「加速しませんでした。伸び切れなかったですね。(敗因が)分かりません」と語っており、スローペースと展開のどちらが響いたのか、今後の課題が残る結果となりました。
また、逃げた2番人気のアドマイヤマツリ(武豊騎手)は、道中理想的なペースで運べたものの、ラスト100mで苦しくなり7着。武豊騎手は「今回は久々で馬体増でしたし、次はもっと良さそうです」と、久々の実戦と馬体重の影響を敗因に挙げており、次走での巻き返しが期待されます。
3番人気のセキトバイースト(浜中俊騎手)も先行集団から粘り切れず10着に沈み、先行した人気馬が軒並み着外に敗れるという波乱の結果となりました。この結果、3連単は68,610円の高配当となりました。
競走馬の挙動と「不確実性」の織りなす綾:アイルランドトロフィーの波乱を検証する
この度の競馬予想、特にアイルランドトロフィーにおける軸馬選定の帰結は、率直に言って「痛恨」の一語に尽きるでしょう。
本命および対抗に据えた有力馬が揃って馬券圏外に沈む一方で、穴としてヒモに加えたアンゴラブラック(6番人気2着)、セフィロ(12番人気5着)、**ホウオウラスカーズ(11番人気6着)**といった伏兵群が上位に食い込むという結果は、まさに競馬の本質を象徴する皮肉な現象であり、深い考察を要します。
軸馬選定のパラドックスと「博打打ちのジレンマ」
予想の過程で既に注目していたラヴァンダ、アンゴラブラック、カナテープといった馬たちが結果的に好走圏内にいたにもかかわらず、最終的な軸選定でこれを外したことは、予想家が常に直面する**「博打打ちのジレンマ」**を示しています。
「穴馬を軸に添えるのは好走率の観点から避けたい」という判断は、確率論に基づいた極めて合理的かつ堅実なアプローチです。
競馬における期待値の最大化を測る上で、高確率で入着が見込める馬(高オッズ馬)を軸とする戦略は、長期的な回収率を支える基盤となります。
しかしながら、今回の結果は、この「合理的判断」が短期的に裏目に出たケースであり、その破壊力(高配当)への羨望と、堅実性への回帰という、二律背反の感情を引き起こします。
ボンドガール大敗の構造的要因:能力か、それとも「気まぐれな側面」か
特に、人気を背負ったボンドガールの惨敗は、詳細な分析が必要です。前走比+20kgの馬体増は、セキトバイーストのケースと同様に調整の難しさを窺わせますが、ボンドガールの場合、これまでのキャリアでG1での大敗が2度、G2でも僅差の5着があるという経歴から、「相手強化=G1レベルでの限界」という仮説が立てられていました。しかし、今回のG3レベルでの不可解な敗戦は、その仮説の再考を促します。
- 能力限界説の揺らぎ: G1レベルの相手ではないここでの大敗は、単なる相手強化に起因するものではない可能性が高い。
- コンディション/精神面: むしろ、手塚貴久調教師のコメントを待つしかない「彼女の気まぐれな一面」—つまりは、当日の精神状態や馬場への適性、あるいはレース中の不運な流れといった、外的・内的要因が複雑に絡み合った結果と推測されます。
この競走馬個体の「ブラックボックス」的な挙動、我々第三者には観測不可能な**「気まぐれ」や「不穏に漂う言葉の流れ」から推測する作業は、まさに競馬予想におけるフロンティア**であり、その限界を常に意識せざるを得ません。
軸馬選定の科学とアート:ボーリングのヘッドピンを巡る考察
「理想的には十中八九外さない」軸馬選定を目指すという目標は、極めて難易度の高い課題です。
ボーリングのプロの例を挙げるならば。プロがヘッドピン(1番ピン)に当てる高確率は、緻密な技術、レーンコンディションの正確な読み、そして膨大な反復練習に裏打ちされています。
競馬にこれを置き換えるならば、軸馬選定とは、単なる過去の成績という「技術」だけでなく、**「レーンコンディション」(馬場状態、展開)の読み、そして「メンタルコンディション」(馬の精神状態や厩舎情報)という、多岐にわたる変数を統合するアート(芸術)**にも例えられます。
かつてBOX買いを多用されていた経験は、複数の好走候補を網羅することでリスクを分散する「不確実性へのヘッジ」戦略であり、これもまた有効な手法です。
しかし、軸馬を据えることでオッズ妙味を追求する手法は、的中率と回収率のバランスを最適化する上での不可欠なステップです。
今回の結果は、軸選定という「勘」と「論理」が交錯する領域の難しさを改めて浮き彫りにしました。この悔しさを糧に、次なる予想では、確率論的な堅実性を保ちつつも、穴馬の持つ潜在的な爆発力と、競走馬の心理的側面という「不確実性」をいかに定量的に、あるいは定性的に組み込むかという、さらなる洗練が求められるでしょう。
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