新潟2歳Sの衝撃!セリフォスを駆り立てた「スカーレットインク系」の勝負根性|競馬-神がかり

​2021年の新潟競馬場。新馬戦で規格外の走りを見せたセリフォスは、迎えた新潟2歳ステークスでも、後にGI馬となるライバルたちをねじ伏せ、その才能が「本物」であることを証明しました。この勝利の裏には、父ダイワメジャーを通じて受け継いだ、日本の競馬界を代表する名牝系**「スカーレットインク系」**の血が流れていました。この記事では、セリフォスがターフに刻んだ伝説の一日を振り返り、その卓越したスピードと勝負根性の源泉に迫ります。

新潟2歳ステークス制覇

新馬戦で見せた“逸材”の片鱗

セリフォスのデビュー戦は、まさに異次元の走りでした。レースラップは11.7-11.7-11.6-11.3-11.5。これは、ラスト3ハロンで加速する持続的なスピードを示しており、彼の並外れた能力を物語っていました。道中では少し気性的な若さを見せましたが、それでも圧倒的なパフォーマンスで勝利を収めた姿は、彼が単なる勝ち馬ではない、「逸材」であることを強く印象づけました。

混戦を断ち切った末脚

新潟の熱狂、混戦を断ち切る閃光の末脚​2戦目の新潟2歳ステークス。この一戦は、セリフォスにとって、その真価が問われる舞台となりました。陣営が確信したGI級のポテンシャルを、ライバルたちに、証明する時が来たのです。​

この年のメンバーは、粒ぞろいでした。新馬戦で2馬身半差の圧勝を飾ったアライバルは、堂々の1番人気。そして、後に秋華賞、エリザベス女王杯を制するスタニングローズも、この時点で既に非凡な才能を秘めていました。​迎えた直線。外から豪快なフットワークで伸びてきたのは、スタニングローズ。

上がり3ハロン32秒9の、まさに雷鳴のような末脚でした。その内では、アライバルが懸命に食らいつき、33秒0の脚で併せ馬の形に。まるで磁石のプラス同士が反発し合うかのような、信じられないほどの迫力で、2頭が競り合います。

​しかし、そのさらに内、荒れ気味の内ラチ沿いをものともせず、ただ一頭、別の次元の脚色で伸びてきたのがセリフォスでした。上がり3ハロン32秒8。ライバルたちを上回る、メンバー最速の末脚。

まるで内ラチ沿いの馬場を切り裂くかのように加速し、後方から喰らいつく如く弾丸となった塊の2頭をねじ伏せ、ゴール板を駆け抜けました。​この勝利は、新馬戦で示した才能が「まぐれ」などではなかったことを、鮮烈に証明しました。セリフォスは、2歳世代の頂点に立ち、そのGI級のポテンシャルを誰もが確信する存在となったのです。

卓越した血統背景:父ダイワメジャーと母系シーフロント

セリフォスの強さは、父ダイワメジャーのスピードと、母系シーフロントが持つ世界的な名血が融合した結果です。この配合は、日本と欧州の優れた血統を組み合わせることで、競走馬としてのポテンシャルを最大限に引き出しています。

父ダイワメジャー:日本のトップマイラー

父ダイワメジャーは、日本競馬においてマイル路線の絶対王者として君臨しました。安田記念やマイルチャンピオンシップを制し、その圧倒的なスピードと粘り強い走りは、多くのファンを魅了しました。

種牡馬としても非常に優秀で、カレンブラックヒル、メジャーエンブレム、アドマイヤマーズといったGI馬を次々と輩出しています。ダイワメジャーの産駒は、総じて高いスピード能力と、レースでの勝負根性を持ち合わせており、セリフォスの新馬戦で見せたラストの加速力は、まさに父譲りの才能と言えるでしょう。

スカーレットインク系:日本の競馬界を牽引する名牝系

ダイワメジャーの母系「スカーレットインク系」は、日本の競馬史において、最も成功した牝系の一つです。この牝系の祖は、アメリカから輸入された繁殖牝馬スカーレットインク(Scarlet Ink)です。​

この牝系を日本で不動のものにしたのは、スカーレットインクの娘であるスカーレットブーケ(父ノーザンテースト)でした。彼女自身も重賞を4勝するなど活躍しましたが、繁殖牝馬として、さらにその真価を発揮します。

​スカーレットブーケは、日本の競馬史に名を刻む2頭の偉大な兄妹を輩出しました。​

ダイワメジャー(父サンデーサイレンス):GIを5勝したトップマイラー。​

ダイワスカーレット(父アグネスタキオン):史上初めて牝馬で有馬記念を制するなど、GIを4勝した名牝。

​この牝系の最大の特徴は、**「優れたスピード」「勝負根性」「タフネス」**です。ダイワメジャーとダイワスカーレットの兄妹は、いずれも先行して粘り込むスタイルを得意とし、競り合いになっても決して譲らない強い精神力を持ち合わせていました。​

スカーレットインク系が日本の競馬界に与えた影響は計り知れません。その血は、ダイワメジャーやダイワスカーレットの活躍馬を通じて、現代競馬にも脈々と受け継がれています。

​セリフォスは、父ダイワメジャーを通じて、このスカーレットインク系が持つ**「負けん気の強さ」と「爆発的なスピード」**という、競走馬として最も重要な才能を受け継いでいます。彼の新馬戦や新潟2歳ステークスで見せたラストの加速力と勝負強さは、まさにこの偉大な牝系の血が騒いだ結果と言えるでしょう。

母系シーフロント:世界的な名牝系

セリフォスの母シーフロントは、フランスでリステッドレース5勝、G1ジャンロマネ賞4着と、自身も優れた実績を残しました。しかし、彼女の真価は、その血統背景にあります。

​シーフロントの血統を遡ると、母系からは米G1パシフィッククラシック勝馬ゴービトゥイーンや、英2000ギニー2着のイエローゴッドといった、世界的に活躍した名馬が多数輩出されています。

​ゴービトゥイーン(Go Between):米G1パシフィッククラシックを制した名馬です。その血統は、セリフォスに中長距離でも通用する底力を与えていると考えられます。​

イエローゴッド(Yellow God):英・仏で活躍し、特に英2000ギニーで2着に入るなど、トップレベルのスピードとスタミナを兼ね備えていました。種牡馬としても成功を収めており、この血がセリフォスの競走能力を支えています。​

この母系は、単なるスピードやスタミナだけでなく、多様な条件に対応できる柔軟な適性を産駒に伝えていることが特徴です。

セリフォスが新馬戦で見せた優れた持続力や、新潟2歳ステークスで見せた勝負強さは、父ダイワメジャーのスピードと、母系が持つ世界の舞台で通用する質の高い血統が融合した結果と言えるでしょう。​セリフォスは、まさに日本と世界の血統が理想的に結合した結晶であり、その優れた遺伝子は、種牡馬として新たな時代を築くための強力な武器となるはずです。

期待の新種牡馬へ

そして2025年、セリフォスは新種牡馬として、第二の人生を歩み始めました。現役時代、彼の走りを支えた天性のスピード、持続力、そしてタフさは、産駒にも確実に受け継がれることでしょう。

母系の優秀な遺伝子と、日本のトップサイアーであるダイワメジャーの血が交わることで、どんなタイプの馬が誕生するのか、その期待は高まるばかりです。​「逸材」と呼ばれたセリフォスは、今度は種牡馬として、日本の競馬界に新たな歴史を刻んでいくはずです。彼の産駒がターフを疾走する日を楽しみに待ちましょう。

​ダイワメジャーの後継種牡馬と母父としての実績

​セリフォスの種牡馬としてのキャリアを考える上で、父ダイワメジャーがこれまで輩出してきた後継種牡馬たちの実績、そして母父(ブルードメアサイアー:BMS)としての成績は非常に重要な指標となります。​これまでの後継種牡馬たち​ダイワメジャーは、数々のマイルGI馬を輩出し、種牡馬としても成功を収めてきました。その中でも、特に代表的な後継種牡馬は以下の通りです。

アドマイヤマーズ

:2019年のNHKマイルカップ、香港マイルを制したトップマイラーです。2024年に産駒がデビューし、芝・ダートを問わず勝ち上がり馬を輩出しています。父譲りのスピードと勝負根性を産駒に伝えていると期待されています。

アドマイヤマーズの主な産駒としては、2025年の桜花賞を制したエンブロイダリーが挙げられます。​その他、リステッド競走の紅梅ステークスを勝ったナムラクララや、ジャルディニエなどがいます。2024年に産駒がデビューしたばかりですが、既に重賞勝ち馬を輩出しており、今後の活躍が期待されています。

カレンブラックヒル

:2012年のNHKマイルカップなど重賞5勝を挙げた快速馬です。地方競馬での産駒活躍が目立ち、南関東や北海道などの主要なダート重賞を制する馬も出てきています。ダート適性の高さを産駒に伝えているのが特徴です。カレンブラックヒルは、地方競馬で特に活躍する産駒を多く輩出しています。​

主な産駒には、以下のような馬がいます。​

アザワク:門別競馬場でグランシャリオ門別スプリントを3連覇するなど、地方の重賞で活躍しました。​

スマイルミーシャ:兵庫ダービーを制覇するなど、南関東や園田の重賞で活躍しました。

ナムラマホーホ:名港盃や東海菊花賞といった地方の重賞を勝利しています。

オヌシナニモノ:金沢スプリングカップや日本海スプリントなどを制し、金沢競馬場で活躍しています。

コパノリチャード

:2014年の高松宮記念を制したスプリンターです。カレンブラックヒルと同様に地方競馬での活躍が顕著で、短距離でスピードを発揮する産駒を輩出しています。

母父(ブルードメアサイアー:BMS)としてのダイワメジャー

ダイワメジャーの血は、母系に入ってさらにその真価を発揮しています。母父として、自身のスピードと勝負根性を産駒に伝えることで、多くの活躍馬を輩出しています。

主要な活躍馬:

メジャーエンブレム

:2015年の阪神ジュベナイルフィリーズ、2016年のNHKマイルカップを制した名牝です。彼女自身が繁殖牝馬となり、ダイワメジャーの後継という点では直接の種牡馬ではありませんが、その血を次代に伝える重要な役割を担っています。​これらの馬たちに共通しているのは、父ダイワメジャー譲りのスピード能力です。

ナミュール(母父ダイワメジャー):2023年のマイルチャンピオンシップを制したGI馬。

ショウナンナデシコ(母父ダイワメジャー):2022年のかしわ記念を制したGI馬。

レシステンシア(母父ダイワメジャー):2019年の阪神ジュベナイルフィリーズを制したGI馬。

これらの活躍馬は、母系に入ったダイワメジャーの血が、配合相手の父馬の持つスピードやスタミナと見事に融合し、高いパフォーマンスを発揮した例と言えます。特にナミュールやレシステンシアは、芝のマイル戦で圧倒的なスピードを見せており、ダイワメジャーの持つスピード能力がBMSとしてもしっかりと受け継がれていることを証明しています。

まとめ

セリフォスは、種牡馬として、これまでの後継種牡馬たちが示した芝・ダート両方での適性、そして母父としての成功例が示す配合の柔軟性を、さらに高い次元で発揮することが期待されます。父ダイワメジャーのスピード、そして母系が持つ世界の名血が融合したセリフォスは、日本の競馬界に新たな歴史を刻むための強力な武器を携えていると言えるでしょう。

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