サートゥルナーリアSaturnalia(JPN)

サートゥルナーリア(Saturnalia)は、日本の競馬史において、その血統と競走成績、そして引退後の種牡馬としての期待から非常に注目された競走馬です。

基本情報
* 生年月日: 2016年3月21日
* 性別: 牡
* 毛色: 黒鹿毛
* 父: ロードカナロア
* 母: シーザリオ
* 母父: スペシャルウィーク
* 調教師: 角居勝彦(栗東)→中竹和也(栗東)→角居勝彦(栗東)
* 馬主: 有限会社 キャロットファーム
* 生産者/産地: ノーザンファーム/安平町
* 通算成績: 10戦6勝 [6-1-0-3] (中央獲得賞金 5億2358万5000円)
* 主な受賞: 2019年JRA賞最優秀3歳牡馬

血統背景
サートゥルナーリアの血統は、非常に魅力的な組み合わせです。
* 父ロードカナロア: 短距離界の絶対王者として国内外でG1を6勝し、種牡馬としてもアーモンドアイなどを輩出する大成功を収めています。
* 母シーザリオ: 日米オークスを制覇した名牝で、その産駒にはサートゥルナーリアの全兄にあたるエピファネイア(菊花賞、ジャパンカップ優勝)、リオンディーズ(朝日杯フューチュリティステークス優勝)など、数々のG1ホースがいます。
このような超良血馬として、デビュー前から大きな期待を集めていました。

競走成績
サートゥルナーリアは、その期待に違わぬ活躍を見せました。
* デビュー: 2018年6月に阪神芝1600mの新馬戦でデビューし、M.デムーロ騎手を背に圧勝。
* 2歳時: 2戦目の萩ステークス(OP)も勝利し、年末の**ホープフルステークス(G1)**を無敗で制し、2歳チャンピオンの座に輝きました。
* 3歳時: クラシック初戦の**皐月賞(G1)**を、テン乗りのC.ルメール騎手とのコンビで無傷の4連勝で制覇。無敗の2冠を目指した東京優駿(日本ダービー)では1番人気に推されるも4着に敗れ、初黒星を喫しました。秋には神戸新聞杯(G2)を制覇し、天皇賞(秋)では6着、有馬記念(G1)ではリスグラシューの2着と健闘しました。
* 4歳時: 金鯱賞(G2)を優勝しましたが、その後の宝塚記念(G1)で4着に敗れたのを最後に、左飛節後腫が見られたため、現役を引退することが発表されました。
通算成績は10戦6勝で、G1を2勝、G2を2勝という素晴らしい成績を残しました。

競走スタイルと特徴
サートゥルナーリアは、馬格に恵まれ、非常にバランスの取れた好馬体をしていました。骨格に対してゆったりとした胴回りで、大跳びのダイナミックな走法が特徴でした。トップスピードに乗るまでには少し時間がかかりますが、一度エンジンがかかると長く良い脚を持続して使えるタイプでした。
一方で、気性が難しい面も持ち合わせており、特に気負いやすい傾向がありました。馬体減りをするとパフォーマンスが落ちるというデータもありました。

引退後(種牡馬としての活躍)
2021年1月に現役を引退し、社台スタリオンステーションで種牡馬入りしました。その血統背景から、種牡馬としての期待は非常に高く、既に2022年生まれの初年度産駒がデビューしています。
母シーザリオが輩出した名馬たちが種牡馬として成功していることもあり、サートゥルナーリアも今後、日本の競馬界にどのような影響を与えるか、非常に注目されています。産駒は芝適性が高く、特に速い時計が出る日本の芝で高いパフォーマンスを見せる産駒が期待されています。
サートゥルナーリアは、短距離王ロードカナロアと日米G1馬シーザリオの間に生まれた、まさにエリート血統のサラブレッドとして、その競走成績だけでなく、未来への可能性も大いに期待される一頭です。

ロードカナロアの血統

ロードカナロアは、日本の競馬史に名を刻む名馬の一頭です。その競走成績、特徴、そして引退後の種牡馬としての活躍について詳しくご紹介します。

基本情報
基本情報
* 生年月日: 2008年3月11日
* 性別: 牡
* 毛色: 鹿毛
* 父: キングカメハメハ
* 母: レディブラッサム
* 母父: Storm Cat
* 調教師: 安田隆行(栗東)
* 馬主: 株式会社 ロードホースクラブ
* 生産者/産地: ケイアイファーム/新ひだか町
* 通算成績: 19戦13勝 [13-5-1-0] (中央獲得賞金 6億6995万8000円)

競走成績
ロードカナロアは、スプリント(短距離)路線で圧倒的な強さを見せつけました。主なG1勝利は以下の通りです。
* 2012年: スプリンターズステークス(G1)、香港スプリント(G1)
* 2013年: 高松宮記念(G1)、安田記念(G1)、スプリンターズステークス(G1)、香港スプリント(G1)
特に、香港スプリントを2年連続で制覇したことは、日本馬として初の快挙であり、その強さを世界に知らしめました。19戦中4着以下が一度もないという、非常に安定した成績を残しました。距離別では1200m~1400mで17戦12勝と圧倒的な勝率を誇り、1600mでも2戦1勝という成績を残しています。

特徴
ロードカナロアは、現役時代はスプリンターとしては完璧な馬体で、本格化すると古馬のスプリンターらしいゴツさが前面に出ていました。気性の荒い母の血を受け継ぎながらも、それがしっかりとした闘争心に転化されたとされています。
デビュー前から関係者からは「他の馬とあまりにケタ違いすぎる」「最初から凄さを感じる」と評価されていました。

引退後(種牡馬としての活躍)
ロードカナロアは2013年の香港スプリントを最後に引退し、社台スタリオンステーションで種牡馬入りしました。引退式では、香港スプリントを制覇した際のゼッケン「1」が再現されるなど、多くのファンに惜しまれつつ現役生活に幕を閉じました。
種牡馬としては、その卓越した競走能力を受け継ぐ多くの活躍馬を輩出しており、リーディングサイアーランキングでも常に上位に位置しています。

主な産駒
* アーモンドアイ: 史上初の芝G1・9勝を達成した不滅の牝馬。牝馬三冠、ジャパンカップ2勝、ドバイターフ、天皇賞(秋)2勝など、中距離でも圧倒的な強さを見せました。
* サートゥルナーリア: ホープフルステークス、皐月賞、神戸新聞杯、金鯱賞などを制覇。
* ダノンスマッシュ: 高松宮記念、香港スプリントなどを制覇し、父子香港スプリント制覇を達成。
* パンサラッサ: ドバイターフ、サウジカップなどを制覇。
* ステルヴィオ: マイルチャンピオンシップを制覇。
ロードカナロアの産駒は、父と同じくスプリント〜マイルに高い適性を示す馬が多い傾向にありますが、アーモンドアイのように芝中距離をこなす馬も出ており、これは母系の血統によって距離適性が広がると考えられています。全体的に前向きな気性の馬が多く、早期デビューして活躍する産駒も多いのが特徴です。また、牡馬に優れた産駒が多いコルトサイアー傾向も見られます。
ロードカナロアは、競走馬としても種牡馬としても、日本競馬界に多大な貢献をしている稀代の名馬と言えるでしょう。

シーザリオの血統

シーザリオの現役成績

シーザリオは、オークス(日本)、アメリカンオークス(アメリカ)の両オークスを制覇した史上初の競走馬として知られています。

オークス(日本):日本の牝馬クラシックの一戦。強靭な末脚で勝利し、その年の牝馬三冠への期待が高まりました。

アメリカンオークス(アメリカ):アメリカの牝馬クラシックの一戦。海外遠征での勝利は、日本の競走馬のレベルの高さを世界に示しました。

父スペシャルウィーク

スペシャルウィーク (Special Week) は、1995年生まれの日本の競走馬で、日本競馬の「黄金世代」を代表する一頭として多くのファンに愛されました。
血統
* 父: サンデーサイレンス (Sunday Silence)
* 母: キャンペンガール (Campaign Girl)
* 母の父: マルゼンスキー (Maruzensky)
スペシャルウィークの血統は、まさに日本競馬の結晶とも言える配合です。
父サンデーサイレンスは、日本に一大旋風を巻き起こした歴史的名種牡馬で、数々のG1ホースを輩出しました。一方、母の父マルゼンスキーも、その圧倒的なスピードで「スーパーカー」と称された名馬です。マルゼンスキーの血は、その後の日本の馬産に多大な影響を与えました。
特に、母キャンペンガールはスペシャルウィークの出産後に亡くなるという悲劇的なエピソードがあり、生まれた直後から人工乳で育てられたことも、スペシャルウィークが「人間好き」になった要因と言われています。
競走成績生涯成績は 17戦10勝。G1を4勝し、獲得賞金は10億円を超えました。

主な勝ち鞍(G1のみ):
* 日本ダービー (東京優駿) (G1) (1998年)
* 天皇賞(春) (G1) (1999年)
* 天皇賞(秋) (G1) (1999年)
* ジャパンカップ (G1) (1999年)
その他の重賞勝ち鞍:
* きさらぎ賞 (G3) (1998年)
* 弥生賞 (G2) (1998年)
* 京都新聞杯 (G2) (1998年)
* アメリカジョッキークラブカップ (G2) (1999年)
* 阪神大賞典 (G2) (1999年)

母父Sadler’s Wells(USA)

競走馬 Sadler’s Wells(サドラーズウェルズ)

は、アメリカで生まれ、アイルランドとフランスで活躍した名馬であり、引退後は史上屈指の大種牡馬として欧州競馬を席巻しました。

主な勝ち鞍:
* フェニックスチャンピオンステークス(G1) (1984年)
* エクリプスステークス(G1) (1984年)
* 愛2000ギニー(G1) (1984年)
* ダービートライアルステークス(G2) (1984年)
* ベレスフォードステークス(G2) (1983年)
惜しくもG1での2着も多く、仏ダービー(G1)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークス(G1)で2着に入っています。特に凱旋門賞(G1)にも出走しましたが、8着に敗れています。
* 欧州競馬界の救世主:

父ノーザンダンサー、母フェアリーブリッジという良血の持ち主で、競走馬引退後はアイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入りしました。当時、アメリカの種牡馬の勢いが強かった欧州において、Sadler’s Wellsは圧倒的な成績を残し、14度にわたって英愛首位種牡馬に輝きました。フランスでも3度チャンピオンサイアーを獲得するなど、欧州の馬産界を牽引する存在となりました。

* 数々の名馬を輩出:

産駒にはダービー馬をはじめとしたG1勝ち馬が多数おり、その影響力は計り知れません。代表的な産駒には、BCターフなどG1を3勝したIn the Wings、仏ダービーと愛ダービーを制したOld Vicなどがいます。日本でも、Sadler’s Wellsの血を持つオペラハウス(テイエムオペラオー、メイショウサムソンの父)や、Sadler’s Wellsを母父に持つエルコンドルパサー(ジャパンカップなど)などが活躍し、その血統の優秀さを示しました。

* ブルードメアサイアー(母の父)としても活躍:

種牡馬を引退した後も、その産駒の牝馬が優秀な繁殖牝馬となり、ブルードメアサイアーとしても驚異的な成績を残しました。2005年から2011年まで7年連続で英愛母父首位種牡馬、2008年から2010年まで3年連続で北米母父首位種牡馬に輝くなど、その血は世界中で大きな影響を与え続けました。

* 引退と逝去:

2008年5月に生殖能力の低下により種牡馬を引退し、クールモアスタッドで余生を送りました。そして2011年4月26日、30歳でこの世を去りました。その功績は、現代競馬の血統図に深く刻まれています。

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