妖艶な夜の帳が下りる、寂れた街の一角にあるバー「夜蝶」。グラスの氷がカランと音を立てる静かなカウンターで、いつものように競馬雑誌を読みふける25歳の証券マン、祐一に、32歳のママ美咲がそっと語りかける。

「祐一、知ってる？シリウスSは『あの条件』の馬しか来ないの」。

競馬記者顔負けの博識を持つ美咲が、その色香に満ちた声で、秋のダート戦線を占うシリウスステークスの攻略法を伝授する。優柔不断な祐一は、果たしてこのヒントを掴み、勝利への方程式を見つけられるのか。

シリウスS【過去の傾向分析】

​祐一、シリウスSの勝ち筋、一緒に見つけない？

「祐一、いつものジン・トニックでいいかしら？」​グラスを磨きながら、美咲はふっと口元に笑みを浮かべた。​「今日はね、来週のシリウスステークスの話でもしようかと思って。祐一も最近、競馬にハマってるんでしょ？」

​「ふふ、そんなに難しく考えなくて大丈夫よ。まずはね、このレースで勝つ馬の脚質から見ていきましょうか。このレース、最後の直線でごぼう抜きするような、極端な追い込み馬は厳しいわ。過去の傾向を見ると、

4コーナーでだいたい6番手以内

につけてる馬が好走してるの。だから、後ろからじわじわ差してくるタイプは、思い切って消しちゃってもいいかもしれないわね。」

​枠順とハンデ、そして前走の着順が鍵よ

​「それからね、面白いことに、このレースは

内枠に入った馬が強い

傾向があるの。特に1枠や2枠に入った馬は、多少人気がなくても穴として狙ってみる価値があるわ。逆に8枠の馬は人気馬なら素直に評価してあげて。人気薄の8枠はちょっと疑ってみてもいいかもね。」

美咲は、そう言って祐一のグラスにそっと氷を足した。

「次はハンデの話。このレース、過去に

52キロ以下の軽い斤量で勝った馬はいないの。

だから、52キロ以下の馬は思い切って割り引いてみて。それに、前走の成績も大事よ。

前走5着以下

だった馬が、いきなり巻き返すのは難しいわ。

特に10着以下

の馬は、過去に好走した例がほとんどないから、ここはバッサリ切ってもいいわね。危険な香りがするわ。」

激走馬を見抜く美咲ママ流の視点

​「じゃあ、どんな馬が来るのかしら？それはね、

前走で0.1秒から0.5秒差

で勝ってきた馬に注目するの。こういう馬は、能力の充実期にある証拠だから、連対率や複勝率が高いわ。

それと、

前走よりも斤量が増えた馬

が好走する傾向もあるのよ。特に斤量が1キロや2キロ増えても勝てる馬は、それだけ実力が評価されているってこと。これらを総合して、美咲ママのイチオシを紹介してあげる。」

そう言って、美咲はニヤリと微笑むと、カウンターに置かれたメモ帳にスラスラと文字を書き出した。

「祐一、メモしておきなさい。美咲ママの今日の予想はこれよ。」

美咲ママ【激推し：本命&穴推奨馬】

​本命：テーオーパスワード​

穴：ピュアキアン

「あら、祐一。欲張りさんね。でも、いいわ。せっかくだから、この2頭を推す理由も教えてあげる。」

美咲ママの激推し馬、その理由

「まず、テーオーパスワードね。この子はね、前走の鳳雛ステークスでしっかりと勝ってきてるの。しかも、その時の勝ち方が見事だったわ。

前走の勝ち馬で、しかも0.1～0.5秒差で勝ってきた馬は好走

するって話をしたでしょう？

この子はその条件にぴったり当てはまるの。それに、前走から斤量が1.5キロ増えるけど、これくらいは成長の証。むしろ実力が評価されているってことよ。過去のデータからも、

斤量増加馬は好成績を残す傾向があるから、そこも安心材料ね。」

「あら、祐一。鋭いわね。そう、ピュアキアンは関東馬なの。でも、美咲ママはそれでもこの子を穴で推したいのよ。どうしてだと思う？」

関東馬でも推す理由

「確かにね、過去のデータだけ見ると、シリウスステークスは関西馬が圧倒的に強い。それは事実よ。でもね、データはあくまで過去の話。馬券は未来を当てるゲームなの。ピュアキアンはね、前走でしっかり0.3秒差をつけて勝ってきてるの。この前走0.1秒～0.5秒差で勝利というデータは、かなり信頼性が高いわ。能力が充実しているサインだからね。しかも、この馬、前走から斤量が1キロ増えるでしょう？これも斤量増加馬が好成績を残すっていうデータに当てはまるの。」

​「だからね、過去の傾向に逆らうようだけど、この馬はそれだけの力があるって美咲ママは踏んでるの。それに、内枠に入ってくればさらに面白い存在になるわ。競馬はね、時にはデータの逆を張る勇気も必要よ。祐一も、この馬の走り、しっかり見てみてね。」

競馬-神がかり

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